この屏風は申師任堂(1512~1559)の作品と伝えられており、黒い絹地に青緑色の絹糸で草花と昆虫を刺繍した8幅の刺繍屏風である。
草花と虫の表現手法が非常に優れており、すべて生き生きとしている。
半分糸を使った平繍技法を駆使して写実的で繊細な感じを与えている。
第1幅はキュウリ・野菊・カエル・トンボ・蜂、第2幅はケイトウ・桔梗・トカゲ・蝶・蛍、第3幅はスイカ・野菊・キリギリス・蜂・蝶、第4幅はタンポポ・セキチク・蜂・蝶、第5幅は菊類、第6幅はナス・蜂・蝶、第7幅はホオズキ・蝶・野鼠、第8幅はワスレグサ・野菊・キリギリス・蜂を刺繍している。
朝鮮中期の代表的な女流書画家の作品という点と共に、現存する最古の刺繍品としてその意義が大きいと言える。
申師任堂の号は思任堂・思姙堂または姻姙堂・姙師斉ともいう。本貫は平山で、進士命和の娘で監察李元秀の夫人であり、栗谷李珥の母でもある。