この写経は鳩摩羅什が漢訳した妙法蓮華経を底本に1422年(世宗4)に比丘徳名が母の極楽往生のために発願し、紺紙に銀泥で書いた7帖のうち、巻3と巻7の2妾に該当する。
表紙には宝相華紋四輪が装飾されており、花紋は金泥で、花茎は主に銀泥で描かれている。券首には金泥で変相図を描き、変相図の次に巻頭の署名と鳩摩羅什の訳者の印が見える。書体は写経体の特徴である趙孟頫体である。
写経の後面には墨書と朱書の「広徳寺」という寺院名が書かれている。これからしてこの写経は天安の広徳寺で写成もしくは腹蔵されたものと推定される。
後面に「広徳寺」という寺院名が朱書されており、この写経と大きさ・体裁・経文の文字が同じ写経で、宝物第269号の「紺紙銀泥妙法蓮華経」巻1と宝物第390号の「広徳寺高麗写経」のうち、「紺紙銀泥妙法蓮華経」巻2・4・5・6がある。既に指定されているものに東亜大学校所蔵本である巻3と国立中央博物館所蔵本である巻7を合わせれば完璧な1帙を成すことになり、これは伝来する写経の中で全帙が明らかになった珍しい例で、さらに大きな意味を持つ。